問われる「家族のあり方」と「個人の尊厳」:各党のジェンダー政策 ~衆院選で考える・その3~

 選挙戦は残すところ、あと2日。最後の直線の叩き合いです。今回、ジェンダー平等が重要な争点となっています。これまで一部の層の関心事とされがちでしたが、一昨年の衆院選、昨年の参院選(ホントに毎年選挙・・・)と争点化の流れができてきました。選択的夫婦別姓や同性婚などの課題は、今や「この国の形」や「個人の尊厳」を左右する大きな分岐点として定着しつつあります。
小西 一禎(元駐夫の大学教員) 2026.02.06
誰でも

選択的夫婦別姓と同性婚が二本柱

 遡上に上がっている議論の二本柱は、「選択的夫婦別姓」と「同性婚(婚姻の平等)」です。これらに対する各党の姿勢を整理すると、導入に前向きな野党勢力と、慎重あるいは伝統的な制度の維持を重視する自民党という対立構造が鮮明に浮かび上がります。

主要6党のジェンダー公約まとめ

各党の主張を、二大柱を中心に比較表にまとめました。

©KAZUYOSHI KONISHI

©KAZUYOSHI KONISHI

首相の「消極姿勢」と通称使用へのすり替え

 

 自民党が提案する通称使用の法制化は、現行の「夫婦同一姓」の原則を維持したまま、通称に一定の法的効力を持たせようとするものです。しかし、これは「根本的な解決を先送りするすり替え」であるとの批判が絶えません。

 通称使用をいくら拡大しても、戸籍上の姓が強制的に変更される事実は変わらず、アイデンティティの喪失という本質的な苦痛は解消されません。海外での契約や公的手続きで通称が通用しない不便も残ったままです。

 元駐夫として、海外における不便さを幾度となく直接的に耳にし、解決すべき課題として強く認識しています。記事にもしています。国連が日本を「夫婦別姓はまだ進まないのか」と批判するのも当然か…元メーカー勤務の38歳男性が、妻の姓に変えて直面した「厳しい現実」

 駐在、出張は問わず、入国時やホテルチェックイン時に説明を求められること、国際会議・学会参加時に名字が違うことで生じる不便さ等々。主要国の中で導入していないのは日本だけという事実からまず説明しなければいけないという苦しみを、いつまでも当事者が抱え続けたままでいいはずがありません。そして、その当事者の約95%近くが女性です。

 「社会が変わってしまう」といった抽象的な理由で、当事者の切実な権利を拒絶し続ける首相の姿勢は、時代の変化から目を背けていると言わざるを得ません。全力で拒む理由・背景は他にもありますが、それは別の機会に。

 首相は、この四半世紀にわたって、制度導入阻止に向けて、積極的に活動してきました。(しい記事はこちら 通称使用は「夫婦別姓阻止ツール」 30年国会ウォッチ、NPO法人理事長

ジェンダー教育の早期実現

 自民党が戸籍制度の維持に固執する一方で、他野党は「選択的夫婦別姓」の早期導入や同性婚の法制化を明言しています。複数の政党がクオータ制を盛り込み、自党所属の女性候補(注:候補です)の比率を引き上げる目標を掲げた政党もあります。

 私が最近主張している、成育早期段階でのジェンダー教育取り入れについては、れいわが「義務教育の一環として実現すべき」と主張しています。

私たちが選ぶべきは「未来の柔軟性」

 今回の選挙で問われているのは、単なる制度の是非ではありません。

「家族」を固定的な枠組みとして強制するのか、それとも多様な個人の生き方を尊重する柔らかな社会へと作り替えるのか。

 首相の消極姿勢を追認するのか、それとも変革を後押しするのか。

 この「ジェンダー公約」への選択は、私たちの社会が誰一人取りこぼさない未来を選べるかどうか、その試金石となるはずです。

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 衆院選企画第一弾のこちらの記事もあわせてお読みください。 

 

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