5.5倍、3.9倍が意味するもの ~国際女性デーに考えたこと~ 

 国際女性デーを迎えるたびに、どこか「自分には無関係な話」だと感じている男性は少なくないでしょう。しかし、データが示す現実は、決して女性だけの問題ではなく、男性自身の生き方や家族の未来に直結する課題であることを突きつけています。
小西 一禎(元駐夫の大学教員) 2026-03-08 00:00:00
誰でも

ミモザが溢れる3月8日

 毎年3月8日は「国際女性デー」。そう聞くと、多くの男性が「自分には無関係な、女性のための記念日」だと通り過ぎてしまうのが、今の日本の実情かもしれません。しかし、ジェンダー平等の本質は女性だけの問題ではありません。男性自身の生き方やキャリアの在り方を問い直す、すべての人にとっての「自分事」です。

突きつけられる「5.5倍」の衝撃

 日本の現状を直視したとき、まず浮き彫りになるのは、家事・育児(無償労働)時間の圧倒的な格差です。家事・育児(無償労働)時間は、女性が男性の5.5倍に達しています。欧米諸国が2倍前後であるのと比較しても、日本の格差は世界的に見て極めて突出しています。

 特に6歳未満の子どもを持つ家庭において、その「非対称性」はピークに達します。

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  • 妻の家事・育児時間(1日平均):7時間28分

  • 夫の家事・育児時間(1日平均):1時間54分

 たとえ共働き世帯であっても、妻の負担は6時間33分と依然として重く、夫の1時間55分とは埋めがたい溝があります。この「時間の格差」こそが、私たちの社会に深く根付いた「男は仕事、女は家庭」というアンコンシャスバイアス(性別役割分担意識)の最も分かりやすい結果指標なのです。

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  • 世界的に突出した格差: 日本の家事・育児時間は、女性が男性の5.5倍に達しており、これは欧米諸国の2倍前後と比較しても極めて異常な数値

  • 「ワンオペ」の構造的要因: 6歳未満の子を持つ夫婦において、妻の家事・育児時間は1日平均7時間28分であるのに対し、夫はわずか1時間54分(3.9倍の格差)に留まる

  • 共働きでも解消されない負担: 共働き世帯であっても、妻は6時間33分、夫は1時間55分と、その差は埋まっていない

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 この「時間の非対称性」こそが、私たちの社会に深く根付いたアンコンシャスバイアス(性別役割分担意識)が可視化された結果指標に他なりません。

キャリアを「共同で形成するもの」へ

 「男は仕事、女は家事・育児」という硬直化した意識は、男性から家庭での時間を奪い、女性からキャリア形成の機会を奪います。長時間労働を前提とした「男らしさ」の追求は、結果として女性のキャリア継続や昇進意欲を阻害する最大の要因となっています。

 キャリアは、夫だけのものでも、妻だけのものでもありません。お互いの可能性をリスペクトし、応援し合う。「キャリアは共同で形成するもの」という意識へのアップデートが必要です。もっとも、今の若年層には相当この意識が浸透しているということは、しっかりと指摘しておきます!

固定化された「性別役割」という呪縛

 「男は仕事、女は仕事と家事・育児」という硬直化かつ固定化した性別役割意識に囚われているため、苦しめられるのは男性のみならず、女性も同様です。

 男性が「男らしさ」を追求するあまり、長時間労働も辞さず働き続ける結果、家事・育児のしわ寄せは女性にいきます。思う存分に働きたい女性も、家庭内における性別役割が一度完成してしまうと、もはやそれは叶わなくなります。そして、家事・育児は自分のタスクだと思い込まされてしまいます。かくして、ジェンダー平等実現に向けた道のりは、遠のく一方となります。

 性別による役割の固定化から解放されることは、女性を救うだけでなく、男性を「働き続けなければならない」というプレッシャーから解放し、人生の選択肢を広げることにつながります。

 ジェンダー平等の実現への第一歩は、男性一人ひとりがこの問題を「自分事」として捉え直すことから始まります。 

2026年、風景を変えるために

 現代の男女ともに生きづらさを抱える背景には、凝り固まった性別役割意識が影を落としています。その意識から男女ともに解放されれば、もっとラクに生きられるのではないでしょうか。

 ジェンダー平等の実現に向けた第一歩は、男性一人ひとりが「これは自分たちの問題なのだ」と意識を変革することから始まります。凝り固まった性別役割意識から男女ともに解放されれば、もっとラクに、もっと豊かに生きられるはずです。

 今年の秋には国際男性デーが控えています。

 そして、数年後の国際女性デーを迎える頃には、家事・育児の時間が「手伝う」レベルではなく「分かち合う」ものへと変わり、誰もが自分らしいキャリアを主体的に描ける社会へと景色が変わっていることを、私は強く願っています。

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